もとには戻せない地下

地下へ続く白タイルの階段が瓶覗の澄んだ温泉に沈んで仕舞ったことに、のっぴきならない事情で働いていたわたしは着衣で膝まで浸かりながら気づいて途方にくれていた。温泉は適度にぬるくて仕事は永久に片づかなくて生物は存在し得なくて状況は焦るほどに綺麗であった。ある種の美しさは手に負えなさや不可逆に立脚することがあるが、その鑑賞は現実ではあまりに苦しすぎるので、ときどきは夢に見せてもらわねばならぬということか。

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