緑色のきみは今朝もピーマンの実に乗って雨を待っている。その実を鋏でつつくときみは緑色の葉を伝って少し上のピーマンの実へ乗り移る。きみが乗っていた実をぱちんと切り落とすと、またきみが乗るピーマンの実をつつく。緑色のきみは葉を伝ってさらに上のピーマンの実へ乗り移る。きみにどいてもらってピーマンの実をぱちんぱちんと切り落とす。きみが選んで乗り移るのはいつも大きくてぐらつかない緑色のピーマンで、どれも座りやすそうだけれど今晩わが家は青椒肉絲なんですよ。しまいにきみはピーマンの大木を越え、緑色の支柱の尖端につかまると、遮るもののない高みで入道雲を見上げていた。明日も如雨露はきみとピーマンのために陽がそそぐ畑へ雨を降らせるでしょう。
